気づきの伝道師 藤井一規です。
他人から教えてもらったものと、自分が考え出したもの。
どちらのほうをより覚えていられるだろうか?
今日は、どのように学びや行動の定着を図っていくかについて考えていく。
<ブログリンク>
http://shitsumon-alacarte.com/mental/11429/
この記事の目次
「人に教えてもろた事は忘れても、自分で編み出した事は忘れまへんで」
by 二世野沢喜左衛門(義太夫節三味線方)
人の記憶力は、実はあまりあてにはならない。
せっかく得た素晴らしい知識も、あっという間に忘れ去ってしまったりする。
どのようにすれば、より活かしていけるのだろう?
<記憶力>
2時間の講演会に行ったとする。
とても楽しく、すばらしい知識がちりばめられた2時間。
ああ、来てよかったと思う。
さて、講演会が終わって20分後、どのくらい覚えていられるものだろうか?
たったの20分なら、ほとんど覚えている?
7割くらいなら?
記憶に関しては、ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスが明らかにした、
エビングハウスの忘却曲線がよく持ち出される。
20分で42%は忘れ去っているというのだ。
短期記憶は、あっという間に忘れ去られてしまうことを示すのによく使われる。
そこで長期にわたって覚えておくためには、反復が大切とされる。
反復することによって、重要だということを脳に伝え、
長期記憶に移していくことができるというものだ。
<意味のあること>
ただ、エビングハウスの忘却曲線は
無意味な文字の羅列を覚えようとした場合なので、
自分に興味のあることや、意味のあることならば、
もう少しは記憶しておくことができるだろう。
しかし、聞いたとき、教えてもらったときはなるほど!!と思ったことも、
そのままでは時間とともに薄れていってしまうのはたしかだ。
ところが、なるほど!が、知識だけにとどまっている場合は、消え去りやすいが、
自分の印象的な体験と結びついていると、記憶に残りやすくなる。
さらには、自分の体験を通して、これだ!と見つけだしたり、
考え出したりしたものは、一度きりのことであっても
大切なものとして長期記憶に残りやすい。
知識記憶という一本の綱だけでつなげていたら落ちやすいが、
体験という五感や、考えたこと、思い出したこと、想像したことなど、
よりたくさんの綱でつないで、網のようになっていれば保たれていく。
そうイメージすると、わかりやすいかもしれない。
<定着させるには>
だから、定着させるには、単に耳から聞いて終わりにしないで、
実際にやってみて体験したり、想像を膨らませて体感したり、
自分なりにさらに編み出したり、一生懸命考えて答えを出したりしてみたい。
私たちは、ついつい正解を教えてもらおうとしたり、
知識を得て満足してしまいがちだけれど、
自分なりに考えなおしたり、やってみて初めて自分のモノになっていく。
もし、誰かに覚えておいてもらいたいと思うなら、
その相手自身が考え出すようにしていきたい。
誰かから与えられたものよりも、
自分で生み出したこと、決めたことのほうが、はるかに強力に働くものなのだ。