気づきの伝道師 藤井一規です。
武田信玄と言えば、、、
風林火山という言葉を思い浮かべるかもしれません。
しかし、武田信玄が「風林火山」と言ったのではない、
ということが知られるようになってきました。
しばらく考えていきます。
<ブログリンク>
http://shitsumon-alacarte.com/mental/15945/
「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」
by 武田信玄(戦国時代の武将)
武田信玄が軍旗に使用したと知られるこの言葉、
孫氏の兵法にある言葉から、意味の重複部分などを削って引用している。
もともとの言葉は
故其疾如風、其徐如林、侵掠如火、難知如陰、不動如山、動如雷霆
と6つの句だ。
風林火山=武田信玄のようなイメージになっていたことについて、
もうしばらく掘り下げていく。
<孫氏の兵法>
武田信玄は、なぜ孫氏の兵法にある言葉を
軍旗に使用したのだろう?
平安時代から室町時代、そして戦国時代と移り、
武士が勢力を持ち、戦によって領土の奪い合いが起こるようになった。
戦が大きな意味を持つ時代、
戦い方を学ぶことは重要なこと。
孫氏の兵法は、当時でも秀逸なものとされており、
孫氏の兵法を知っているぞと示すだけで、
大きな効果を持っていたかもしれない。
<風林火山>
戦を行う上では、敵を欺くことは効果的。
油断させておいたり、数を多く見せたり、
実際の戦闘ではいかに速く動くかは大きなポイント。
孫氏はそれを
故其疾如風、其徐如林、侵掠如火、難知如陰、不動如山、動如雷霆
という言葉で著している。
故に其の疾きこと「風」の如く、
其の徐(しず)かなること「林」の如く、
侵掠(しんりゃく)すること「火」の如く、
知りがたきこと「陰」の如く、
動かざること「山」の如く、
動くこと「雷霆(らいてい)」の如し
この中から、重複していると考えた
「陰」と「雷霆」を含む句を外したものを軍旗に用いた。
そして、風林火山という言葉は、
井上靖の歴史小説『風林火山』で初めて登場するようだ。
<略語>
私たちが日常で使っている言葉には、略語がとても多い。
略語だと気づかずに使っているものも多い。
「ピアノ」は、ピアノフォルテ、さらに元は、
コルヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ。
「教科書」は、教科用図書。
こうした例には事欠かない。
しかし、よく考えてみれば私たちは
そもそも表したいものに言葉という記号をつけているだけだ。
広く共有されたものが定着していく。
感覚的にぴったりくるものであれば、共有されやすい。
<言葉がつくるイメージ>
「風林火山」は見事な例かもしれない。
孫氏の兵法に忠実に「風林火陰山雷」というタイトルだったら
定着しなかったかも。
どういう言葉が共有されやすいのかについては、
いずれまた詳しく取り上げたいが、
風林火山という言葉が、略された部分の意味だけでなく
武田信玄という人物像までイメージさせるものになっている。
あなたは、自分を表すために、伝えるために、
自分のことをわかってもらうために、
どんな言葉をもっているだろうか?
武田信玄といえば、「風林火山」というように、
私と言えば、「****」のように。
何か持っていると、相手に伝わるし、自分の意識も
その言葉の影響を受けたりする。
自分を表す素敵な言葉、何か持っていたい。