子どもたちや選手に質問を活用する際は、
その質問が「誘導的な問い」になっていないかが大切です。
考えを誘導すると、
選手の主体性は低下し、
やらされ感は膨らむ一方。
最悪な場合、
自分で考えることをやめてしまう恐れもあります。
誘導的な問いかけの特徴
では、「誘導的な問い」とはどんなものがあるんでしょう。
誘導的な問いとは、
自分が持っている正解に引き寄せること。
よくある特徴としては、
思い描いていた答えて欲しかったものと違った際に
「怒りや不満」が生まれるものです。
タクシードライバーさんとのエピソード
先日、
知人のお見舞いに新横浜駅から病院まで
タクシーで移動することにしました。
5分もかからずにタクシーは病院へ到着すると
「現金でよろしいですか?」とドライバーさんから。
ここまでは別に問題があるようには思えません。
よくある光景ですよね(笑)
けれど、
「いえ、手持ちがあまりないので、カードでお願いします」とお伝えすると、
ドライバーさんの表情はみるみる変化!(すぐにわかるくらい!)
クレジットの決済に必要なボールペンとレシートを
ポイと放るなど
明らかに対応がとても悲しいものになってしまいました。
ドライバーさんの中には「現金で払ってほしい」というメッセージが
「現金でよろしいですか?」という問いかけに含まれており、
それに、ぼくが応えられなかったことが一つの原因だったのかもしれません。
誘導的な問いかけとは、
自分の中に確固たる正解や「こうしてほしい」という行動の基準があり、
それ以外の考えは(無意識のうちに)受け付けない前提で質問をすること。
この場合であれば、
質問はせずに「(こちらの都合で恐縮ですが)現金でお願いします。」
とお伝え頂けたら、お互いに嫌な気持ちにならなかったかもしれません。
子どもの本当の答えを知る方法
スポーツに話を戻すと、
特に、子どもたち選手は素晴らしい力(特殊能力と勘違いするほど!)があり、
僕ら大人の頭の中を見透かすことができます。
「さっきの試合、どう思う?」というような、
あえて曖昧な問いを投げかけても、
選手たちは僕らの頭の中を見透かし、
僕ら大人の答えに近づけようとします。(怒られるのを避けようとします)
「コーチが求めている答えはこれですよね?わかっていますよ」という具合に。
サッカーをしている子が「将来は野球選手になりたい」と言い始めたら、
「おいおい!」と言いたくなるかもしれません。
けれど、
ぼくらが子どもだった頃を思い出してみても、
興味や好奇心の対象は日が変わるごとに変化していた気もします。
「サッカー選手になりたい」
「野球選手も良いなぁ」
「アナウンサーのお仕事も憧れちゃう」
ぼくらは大人ですから、
子どもたち選手よりも多くの経験をしていますし、
ある程度の答えを持ち合わせています。
けれど、
彼らにはその経験はなく、
これから学んでいくところです。
自分の正解や考えに導くのではなく、
まずは、子どもたち選手の類い稀ないアイデアやセンスをひらいていきましょう。
そのためのポイントは、
ぼくら大人が
「どんな答えだっていいんだよ」
「きみの考えを聞かせて」
「間違いなんてないんだよ」
という姿勢を見せ続けること。
自分の正解に近づけるのではなく、
彼らの頭の中を覗くことを楽しむような姿勢でいること。
そうすることで、
子どもたち選手は少しずつ心を開き、
自分らしい本当の考えを教えてくれます。
しつもん「どんな聴き方をしたいですか?」