「山寺へぜひ行ってみてください。」
山寺?
山にあるお寺のこと?
寺巡りって意味なのかな・・・?
魔法の質問マスター養成講座を受けるため、はじめて山形へ行くことをきめた。
3日間は、合宿に参加。
翌日だけ、自由な時間がとれる。
ただし、遠くに足を延ばせば帰りの飛行機に間に合わない。
行ける場所は限られてくる。
全く予備知識がない、未知の場所。
せっかくだから、どこかに行きたいな。
そんな中、山形出身の方にお勧めされたのがきっかけだった。
調べてみると、山寺というのは、立石寺というお寺の愛称。
松尾芭蕉の俳句が詠まれたことで知られていた。
観光地としても人気の場所。
山寺という駅もある。
駅から徒歩で行けるのが有り難い。
俄然、ここに行きたい!という思いが強くなった。
*
魔法の質問の合宿で学んでいた3日間はミラクルの連続。
何が起きても、身を委ね、心のままに動くことが出来た。それが心地よかった。
たくさんの仲間と出会い、ともに学び、心も体も癒され、自分を知る。
まさに魔法にかかったような、とても不思議な気分だった。
そんな気分が抜けないまま山形4日目の早朝、山寺駅へ向かった。
始発の次の電車。いまにも雨が降りそうな曇り空。まだ、まばらな人影。
旅の終着点へ向かうようだった。
*
山寺というだけあって半ば山登りの参道。
一人で石段を一段一段、登ってゆく。
1000段以上ある石段を一段登るごとに、煩悩が一つ消えていく、といわれているらしい。
私もひとつひとつ吐き出していく。
心のざわつき。
わだかまり。
おそれ。
見栄。
弱さ。
自信のなさ。
エゴ。
怒り。
不安。
心配。
欲。
吐ききったら、たくさん吸い込める。
希望。
自分らしさ。
愛。
仲間。
学び。
つながり。
安心。
エネルギー。
光。
あたたかさ。
やすらぎ。
癒し。
吐くほどに、呼吸が深まる。
呼吸とともに、色々なものが身体をめぐる。
そんな体験をした。
かすみがかった、幻想的な景色。
風の音、日陰のひんやりした感覚、太いお線香の香り。
五感を使って「いま、ここ」を味わい尽くす。
散りかけた桜に心奪われていると、見覚えのある笑顔がこちらを向いているのに気が付いた。
目を疑った。
昨日別れたはずの仲間と再会したのだ。
*
3日間のミラクル体験でもう何が起きても驚かないと思ったが、それは違っていた。
小さな喜びも大きな喜びもすべてが私にとってミラクルになっていたのだ。ミラクルが起きる度に、新鮮に驚き、感動する。
特別な場所に行かなくても今いる場所で、
この瞬間にミラクルは起こり続けている。
身の回りへの感謝を
ひとつひとつを味わいながら
生きていくことができる。
日常に戻ってきた今も、この旅は続いている。
*
魔法の質問
どんなミラクルが起こりましたか?