子どもが朝、いつまでも布団から出てこない。
「何を怠けてるの?」とついつい叱りたくなります。
ですが、少しだけ立ち止まっていただきたいのです。
起立性調節障がいとは…
朝になると、布団から起きてこられない。
何度起こしても、また横になってしまう。
そんなとき、僕らはついつい叱ってしまいます。
「早く寝ないからでしょ?」
「怠けてるんじゃないの?」
そうやって声を荒げてしまいます。
そのうえ、夕方になるとムクムクと起き出して、楽しそうにやっている。
親の立場になればイライラしてしまうものです。
「だったら、学校に行きなよ」
そう思うのも無理はありません。
ところが、こんなとき気をつけたいことがあります。
自律神経失調症の一種に『起立性調節障がい』というものがあるのです。
『起立性調節障がい』になると、思春期の子どもたちは朝、身体が重く起きることが難しいという症状が現れます。
子どもたちはみんな『がんばり屋さん』です。
そのがんばりすぎたストレスが子どもたちのキャパシティーを超えたときに起こるのです。
僕らの生活リズムを司る自律神経には交感神経と副交感神経とがあります。
交感神経は僕らを緊張状態に導き、反対に副交感神経はリラックス状態に導きます。
一般的には、日中は交感神経が優位に働いて緊張状態となり、夜間は副交感神経が優位に働いてリラックスした状態になります。
そうやって、自律神経の優位が切り替わることで、僕らの生活リズムは整います。
ところが、ストレスが高まった状態が続けば、交感神経が優位な状態が続きます。
そのことで、自律神経の切り替えスイッチが壊れてしまう。
もしくは、昼夜が逆転してしまう。
そんなことが起こるのですね。
自律神経がスムーズに機能すれば、夜明けとともに、身体は朝を迎える準備を始めます。
ところが、その機能がうまく働かないと、リラックス状態のまま朝を迎えることになります。
これが『起立性調節障がい』です。
「怠けている」ように見えたとき、
そんな可能性もある
ということを知っておいていただきたいのです。
『起立性調節障がい』のお子さんをもつお母さんの言葉
子どもたちは、決して怠けてなどいないのです。
みんな一生懸命、今を生きている。
それぞれにいろんな事情を抱えていて、一見がんばっているようには見えない子だって、精一杯今を生きている。
でも、どうしても責めてしまいますよね。
そうやって大人が責め続ければ、うつや統合失調症、強迫性障がい、リストカットなどに追い込んでしまうこともあるのです。
あるお母さんからのメッセージをいただきましたので、シェアさせてください。
我が家にも子どがいます。
いろいろと家庭の基盤がしっかり出来なかった時期もあり、毎日が必死でした。
そんなときに、娘が学校に行けなくなりました。
色々な事情が重なり、感じやすい娘が受け止めた家族のSOSだったと思います。
精神的に一線を超えてしまったように情緒不安定になり、うなり声をあげることもありました。
娘は、時々学校で倒れました。
朝会の最中、部活動中。
母の直感で病院を受診。
『起立性調節障がい』でした。
楽しく学校も行っていますが身体の不調もあったようです。
「なんで学校に行かないの?」
「行かなきゃいけないよ」
話を聴いたり、叱咤激励したり。
最初は、どうしようかと思いました。
学校の先生が家に迎えに来て、
「先生怒らないよ〜。学校においで〜」と言う。
何て言っていいのか、対応も難しいなと思っていました。
あの時は、子どもの気持ちを受け止めて、習い事をすべて止め、学校も無理をさせませんでした。
もしかしたら、追い込んでいたかもしれません。
どう付き合っていくのか。
また、大変なときがが来るかもしれません。
そんな事をふと考えながら子どもたちを見つめています。
お母さんの直感。
母と子のつながりって、本当に神秘的です。
お子さんの症状に気がつけたことは幸いです。
『起立性調節障がい』は、周囲が気づいてあげにくい症状ですよね。
朝起きてこず、日中ダラダラと過ごす。
夜になれば、元気になる。
その姿が怠けているように私たちの目には映ってしまいます。
でも、そうではないのです。
幸いにも、お母さんが気づいてくださった。
母と子は、どこまでも深い愛でつながっています。
その結果、病院を受診し、この子の苦しさに気づいてあげられました。
もしも、気づいてあげられなければ、この子はずっと苦しまなければならなかったのです。
わかってあげることができれば寄り添えます。
『起立性調節障がい』以外にも、子どもたちが抱える困難は山ほどあります。
きちんと検査をし対応方法を知れば、助けてあげられることはたくさんあります。
でも、そういった検査に対して、嫌悪感を抱かれる方もいらっしゃいます。
そこは難しいところだなと思っています。
このブログでお伝えしたいこと
学校に「行く」という選択があります。
学校に「行かない」という選択があります。
どちらも、素晴らしい「この子」の選択です。
ですが、親としては「行かせなければ」という思いが先に立ってしまいます。
「行かせなければならない」という「恐れの選択」が、あなたとこの子を苦しめます。
だから、一歩立ち止まってみてください。
子どもたちは、精一杯伸びようとしています。
だれ一人として、怠けている子などいないのです。
みんな成長したいのです。
もちろん、その子のペースで、ですよ。
その前提で、「この子」を眺めてみてください。
もしも、怠けているように見えたら、きっと何かがあるのです。
この子はこの子であるだけで素晴らしい。
そのことを心に留めて、魔法の質問に答えていただけませんか?
魔法の質問
この子が抱えている痛みは何だろう?