思春期の子どもの専門家、くればやしひろあきです。
「ウチの子、今年は受験生だというのに、全然勉強しないんです」そんな悩みを抱えているご家庭は多いようです。
そんなとき、僕はこんな言葉を届けています。
受験生なのに勉強しない子
どれだけ声をかけても家で勉強しない子がいます。
お母さんは悩んでる。
「勉強させなきゃ!」って。
勉強しない子に勉強をさせることほど苦しいことはありません。
なぜ、苦しいのでしょうか。
まずはそこから考えていきましょう。
学校には、何も手をかけなくても「勉強する子」がいます。
どれだけ手をかけても、なかなか「勉強しない子」もいます。
僕は、家庭の問題だけではないと思っています。
案外、多いのですね。
兄はちゃんとやるけど、弟はやらない、とか。
姉は全然遊んでばかりなのに、妹はしっかりしてる、とか。
それはね、それぞれがもって生まれた個性の一つだなって思うの。
だってさ、同じDNAをもって生まれた子が、同じ家庭で育ったら、同じように育ちそうじゃない?
でも、そんなことないんだよね。
我が家もホントに、三者三様。
みんなそれぞれのご家庭のペースで、手塩にかけて育ててるの。
ただ、一つだけ気づいたことがあります。
家で勉強しないって子はね。
なぜか提出物が出せない!
宿題をやってこない!
ちょっと忘れ物が多い。
そんなところがあります。
あまり得意じゃないんだと思います。
そういうことが。
うん、それもまた個性。
それが「良い」とか「悪い」とかじゃないのです。
それが「優」とか「劣」とかじゃないのです。
そういう特徴がただ「ある」というだけ。
ウチの子もそうなのです。
「教育」についてのブログやメルマガをずっと書き続けてる。
ならば、さぞや優秀なお子様なのだろうと思いきや、そんなことはありません。
全然、宿題をやりませんし…。
じゃあ、どうするか。
次の章で書きたいと思います。
そういう個性をもった子に、「勉強しなさい!」と怒鳴ったところで、勉強なんてしないんです。
だから、苦しいんだよ。
結局、寄り添うことしかできないのだよ
我が家で実践していること。
このときだけは、ちゃんと勉強します。
それはズバリ、親も一緒に勉強をすることです。
我が家では、机に僕と長男と長女が並んで座り、それぞれが勉強をしています。
テレビを消し、静かな環境で親も子も机に向かう。
僕は読書をしたりノートを広げて次の構想を練ったりしています。
パソコンを広げてブログ記事やメルマガを書いているときもあります。
とにかく一緒に机に座って、静かにそれぞれの作業をする時間をつくる。
たったこれだけです。
同じ机でなくても構いません。
ただ、同じ空間ではあってほしい。
その空気感って、とっても大切なんです。
たとえば、図書館。
独特の雰囲気がありますよね。
その場、その場には、独特の空気感ってあります。
学ぶ空気をつくってみる。
その空気を共有する。
これね、とっても効果があるのです。
いろんな家庭があるのですね
家庭訪問に行ったとき、こんな家庭に出会いました。
食卓に3兄弟が宿題を広げて勉強しています。
同じ机でお母さんは、語学の勉強をされていたようで、お母さんが座っていたであろう座席には、語学のテキストが置かれていました。
聞けば「昔から、ずっとそう」なのだそうです。
家に帰ってくると、まずみんなで食卓に向かって自分の課題に取り組む。
すべてが終わったら、それぞれの時間を楽しむ。
そんなスタイルなのだそうです。
その子、とっても有名な高等学校に進学されました。
だれもが知っているような名前の学校です。
でも、塾には行かなかったんだそうです。
一方で、こんな子もいました。
ある問題を起こしました。
お母さんに来校していただき、話をしました。
お母さんは「すいません、すいません」と何度も頭を下げて謝ります。
その子、毎日のように学習塾で勉強。
ストレスからでしょうか、問題を起こしてしまったのですね。
「塾も忙しいかもしれないけど、塾から帰ったらさ、お母さんに今の気持ちとか聞いてもらうといいよ」
そんなことを語りかけました。
お母さんも、続きます。
「そうよ。なんでもお話ししてね」
すると彼、涙ながらにこう訴えるのです。
「お母さんは、僕が帰ってきたって家にいないじゃないか!
いつも飲み歩いて、帰ってくるのは夜中じゃないか!
話を聞く気なんかないくせに、勝手なこと言うなよ」
お母さんは、子どもを学習塾に放り込んで、自分は呑み歩いている。
お母さんは、顔を真っ赤にして俯いていました。
一番大切なことは何でしょうか。
「学習塾に入れれば」「家庭教師をつければ」というだけで解決するものではありません。
もっとも〜っと大事なことがあるのですね。
学ぶ時間を共有すること
子どもたちにとって、学ぶことは本来、とても楽しいもののはずです。
ところが、「やらされ感」たっぷりの勉強ほど、つまらないものはありません。
学業成績の優秀な子ならともかく、勉強が得意でない子にとっては苦行でしかないのです。
だから、机を並べて一緒に学ぶ。
何も教える必要はありません。
一緒の空間で、学ぶ時間を共有するだけなのです。
それだけでも、「学ぶ勇気」が湧いてきます。
ところが、こんなお願いをすると、「そんな余裕はありません」と言うお母さんがいます。
忙しいのは重々承知しております。
でも、心から「この子」に勉強させたいと思うなら、何かを手放すしかありません。
自身は机に向かわない。
スマホばっかりイジってる。
で、子どもには「勉強しなさい!」と言う。
その姿を子どもたちはどう捉えるでしょうか。
雑誌や本を読むのでもいいんです。
家計簿をつけるのでもいいんです。
メディアを絶って、心を落ち着けて学ぶ。
そんな時間をつくってみてください。
本気で、子どもに勉強させたいのであれば、せめて「一緒の空間で、学ぶ時間を共有する」ぐらいしていただきたいなって思います。
まずは、1時間でいいのです。
いや、30分でもいいです。
一度走り出してしまえば、子どもたちは自分で学びはじめます。
そのあとは、同じ空間で家事をしていたっていいのです。
やり始めが難しいのです。
ですから、ぜひ時間をつくって、一緒の空間で学ぶ時間を共有していただけたらと思うのです。
魔法の質問
子どもが学んでいる時間、一緒に何を学びますか?
それを一緒にするために、どのような時間の使い方をしますか?
一緒にそれをやったとき、どんな気持ちになりますか?