さて。問題です。
どちらがいい姿勢に見えますか?
こんにちは。
笑顔で世界征服をたくらむ
姿勢の専門家・姿勢調整師、
姿勢美人プロジェクト主宰
みちのえみこです。
時々、
「猫背の矯正バンドはいいの?」
「姿勢よくなる下着はどう?」
という質問を受けます。
そこで。
ちょっとこんな実験を
してみました。
そういう商品のコンセプトは、
「肩が前に出て、猫背になってしまう」
という問題を、
左右の肩甲骨を中心に寄せて、
上腕を後ろに下げることで、
胸をはって
姿勢をよくすることで
解消してしまおう、
というものであると仮定します。
手持ちのゴム製の
エクササイズ用バンドで
たすきがけ状にして、
再現してみました。
↑BEFORE↑
何もしていない状態の
横から見た姿勢。
↑AFTER↑
矯正後の横から見た姿勢。
たしかに、腕が後ろに下がって、
胸をはった状態になっています。
でも。
注目ポイントは、
耳の位置です。
肩の中心から垂直に線を伸ばして
比較してみると。
↑BEFORE ↑AFTER
たしかに
胸をはってるし、
腕は後ろに下がりましたが、
耳が置いてけぼりです。
耳の位置は、
頭の位置を表します。
たすきがけのゴムは、
菱形筋の役割を助けて
左右の肩甲骨を中心に
寄せてくれるのですが、
首の筋肉への働きかけではないので、
頭の位置は元のまま、
腕だけ後ろに移動した状態に
なっています。
頭の重さは成人で
約5kgあります。
私たちが座ったり立ったりして
活動している間、
首の骨、頸椎や
肩甲挙筋や僧帽筋や斜角筋や
首周辺の筋肉は
この5kgの頭を支えて
働き続けているわけですが、
この状態だと、
それらの骨や筋肉は
もっと頑張らなきゃ
いけないことになります。
この赤い線が
横から見た
理想の重心ラインです。
このライン上に重心が保てていると、
人の体は一番
楽に頭を支えて立っていられる
構造になっています。
「耳が前に出ている」
ということは、
このラインから
はずれてしまっている、
ということになります。
ということは、
頭が落っこちないように
支えるのに、
首や背中の筋肉が
必死で働くことになります。
実はこうした姿勢は、
肩こりや首こり、
背中の痛み
を引き起こす原因
となることが多いのです。
胸をはって
腕だけを後ろにする立ち方は、
全身で見ると、
右のイラストのような姿勢に
なることが多いです。
お腹を突き出し、
膝を曲げて
バランスをとっています。
人の体は、
頭から足の裏まで、
全身を使って
バランスをとるようになっています。
そのため、
一部だけを気をつけたり、
位置を変えたりしても、
いい姿勢になるとは
限らないのです。
胸をはることが
姿勢をよくしたことには
ならないのですね。
今回の実験でわかるように、
猫背を矯正するグッズは
たしかに姿勢を変える効果はあります。
ただし、それがご自身の体にとって
本当にいいのかどうか、
見極める必要があるものだということを
知っておくのがいいと思います。
そのためには、
まず、今の立ち姿勢を
知ることからはじめましょう。
猫背をよくしたい人への質問
今の姿勢はどんな姿勢ですか?
猫の写真:Tambako the Jaguar