久しぶりに帰省した実家で、
親や家族の体のことが気になった、
というご相談が多い8月でした。
こんにちは。
笑顔で世界征服をたくらむ姿勢科学士
みちのえみこ です。
ちょうど私と同世代の方ばかりだったので、
親の健康状態が気になる
タイミングなんだなあ、
といろいろ考えたりしました。
そんな、体に関する質問から、
今日のお話です。
膝の水がたまって
膝の曲げ伸ばしがしにくかったり、
膝が痛い、
という話を聞いたことありますか?
そういうことに経験があったり、
慣れた方だと、
簡単そうに、
「整形外科で
水を抜いてもらえばいい」
と言うかもしれません。
でも、
そもそも
その「水」って何なのでしょう?
そんなに気軽に抜いちゃって
いいものなんでしょうか?
膝は、ヒトの体で
もっともよく使われることの
多い関節の一つです。
関節は、
「関節包」という
膜につつまれているのですが、
その中で分泌されるのが、
膝の「水」の正体、
「滑液」という液体です。
「滑液」は、
関節を滑らかに動かしたり、
骨と骨の摩擦を軽減したり、
半月板などの軟骨への
酸素、栄養分の補給、
老廃物や異物の排出などの
役割をはたしています。
ヒアルロン酸や
タンパク質などを含んだ
粘り気のある液体です。
膝の水って、
なんかとても悪いものみたいに
思われがちですが、
実はすごく重要な働きをしている
液体なのです。
そして、
どんな時に
その水がたまるのか、
という点です。
関節が大きな負担を受けたり、
なんらかの損傷を受けて
炎症が起きている時や、
半月板や関節の損傷で
生じたかけらなどを
異物として認識した時などに、
滑液が大量分泌されて、
炎症をおさえようとしたり、
異物を排出しようとしたりするのです。
ごくごく正常な働きです。
異常が起きているから、
それに対処しようとする、
ヒトの体に備わった
自己治癒能力です。
大量に滑液が分泌されると、
関節内部の圧力が高まって、
関節の状態が不安定になったり、
滑液に圧迫されて血の巡りが悪くなったり、
膝の曲げ伸ばしがしにくくなったり、
神経の圧迫で痛みが出たり、
ということが起きます。
それが、
「膝に水がたまって
困っている」
という状態ですが。
問題は、
「なぜ膝に水がたまる状態に
なってしまったのか」
です。
水がたまるのがつらいから
水を抜く、
というだけの対応では、
水が出しっぱなしになっている
水道の蛇口をそのままに、
いっぱいになった
バケツの水を捨てるだけ、
という対応になります。
そのままにしては、
また水はバケツに
たまり続けてしまいます。
水を抜く、というだけでは、
つらい症状に
とりあえず対応しただけの
対症療法になり、
根本的な解決にはなりません。
膝に滑液がたまるような
炎症が起きてしまう状態、
あるいは、
半月板や関節が
損傷してしまうような状態、
というのは、
スポーツなどでけがをしたり、
交通事故に遭ったり、
ということがない限り、
ほとんどの場合、
体の膝より上の部分の
重心バランスが悪く、
常に膝に非常な負担をかけて
立ったり歩いたりし続けている、
ということが多いです。
つまり、
姿勢が悪い、
ということです。
「膝より上の部分」というと、
股関節、腰、背中、首、頭
などになりますが、
その位置関係によって、
体の重さの負担が
何倍にもなって
膝にかかるのです。
もしあなたが
誰かを肩車しているとして、
上に乗っている人が
すごく前に体を乗り出したり、
後ろに反り返っている、
という状態を想像してみてください。
……想像したら、
腹立ちますね。笑
私なら頭にきて
上に乗ってる人を
振り落としたくなるところですが、
一生懸命その
バランスの悪い状態に
じっと耐えて、
支え続けているのが、
「膝」という関節です。
けなげです。
じっと耐えながら、
あまりにも傷ついたので
自分でそっと大量の涙を流して
自分を癒そうとしているのです。
なんとか
バランスがとれる状態、
もっとましなバランスの状態に
してあげれば、
大量の滑液を出して
異常を解決しようとすることも
必要なくなるわけです。
涙をぬぐうだけじゃなくて、
涙を流す原因を解決して、
けなげな膝関節を
守ってあげましょう。
体の持ち主の
ご理解とご協力が
必要ですね。
一生自分の足で歩いていくために、できることはなんですか?
体、大切に使っていきたいものですね。