気づきの伝道師 藤井一規です。
東日本大震災ではNHKが「花は咲く」を復興支援ソングとして
被災地の出身だったり、ゆかりのある人たちに歌うようにしていたりします。
大きな衝撃を受けた人を音楽が支え、力づける。
そんなことを聞くことがあります。
本当にそうなのか?
しばらく考えていきます。
<ブログリンク>
http://shitsumon-alacarte.com/mental/15758/
この記事の目次
「音楽があなたの人生の重荷を振り払い、あなたが他の人たちと幸せを分かち合う助けとなるように」
by ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (独の音楽家、作曲家)
音楽は人の心を支えたり、明日へのチカラを生み出したりするという。
しかし、東日本大震災ではしばらく、テレビからは音楽が流されることなく
消え去っていたと言っていい。
音楽が救うという、美しいフレーズだけではすまない、という面もあるのだ。
もう少し掘り下げていく。
<衝撃の直後>
東日本災害直後、テレビは何を流しただろう?
知る限り、民間放送局であっても、しばらくは24時間CMも流さずに
震災についてのニュース番組を流していた。
しばらくして、ACジャパン(旧 公共広告機構)のメッセージが流れるようになったが、
放送されるのは通常番組ではなく、災害の映像を中心とした特別番組が流され、
いわゆるBGMも流されなかった。
あれほどの大災害の映像、事実を伝えるのに、
ぴったりくるBGMなどなかった、ということだ。
そう、大きな衝撃を与える事実がおきたとき、
人生において、悲惨な事態に襲われた瞬間に、
これさえあれば心が救われる、
というような音楽は今のところ存在していない、ということを示している。
<音楽は無力か?>
ものすごく辛いことや、悲しいことに遭ったとき、
充分にその感情に浸ることは必要だったりする。
しかし、私たちの心が、悲惨なことで占められ、
いっぱいいっぱいになっているとき、
流れてくる音楽を受け留める余裕は、
なくなってしまう。
それが、悲しみを誘うようなものであっても。
それでも、ちょっとしたきっかけで
音楽が心の扉を開くことがある。
東日本大震災の時、ある避難所の体育館に訪れてきた
ひとりの女子中学生が「ふるさと」をトランペットで吹くと、
そこにいた人たちの多くが涙したという。
抑え込んで、はち切れそうになった心を、気持ちを
音楽が外に溢れさせて、緩めることができた瞬間だった。
<音楽をチカラに>
音楽が万能だとか、素晴らしい、とばかりを
前面に出すのは、ピッタリとはこないけれども、
音楽だからできること、助けになることってきっとある。
悲しみをしっかり感じ、受け留めていくために。
悲しみを超えて、再び顔を上げるために。
ふたたび立ち上がり、歩き始めるために。
私も地元の豪雨災害応援の音楽活動に参加させていただく機会を得たので、
ひとりでも、少しでも役に立てばうれしい。